「行政書士試験」まで
あと 132

重大明白説とは


判例(最判昭和36年3月7日)に基づく「重大明白説」について、以下のように解説できます


■ 問題の背景:「違法な行政行為は無効か?」

行政行為(たとえば建築許可や営業停止命令など)は、仮に法律に違反していたとしても、すぐに「無効(最初からなかったこと)」になるとは限りません。

多くの場合、「違法だとしても一応有効。あとから取り消せばいい」とされます。
ただし、あまりにもひどい違法なものは「最初から無効」と判断されることがあります。


■ 判例の立場:「重大明白説」

行政行為の無効が認められるのは、
その瑕疵(欠陥・ミス)が
(1)重大で、
(2)外から見て明白である場合に限る。

これが「重大明白説(じゅうだい・めいはくせつ)」です。


■ それぞれの意味:

  • 重大性
     行政行為が守るべき重要な法令(例えば憲法や行政手続法など)に違反していること。
     → 例:全く権限のない役所が許可を出した、必要な手続をまったく踏んでいない、など。
  • 明白性
     その違法(瑕疵)が、一般人から見ても外からハッキリ分かること
     → 例:「この役所にこんな権限あるわけがない」と外から見てもすぐわかるようなケース。

■ なぜこの2つの要件が必要?

行政行為は、社会秩序や国民の権利に大きな影響を与えるため、簡単に「無効」とはできません。
一見して無効かどうかわからないと、国民が安心して行政行為に従えないからです。

だから「無効」と言うには、

  • ひどく法律違反していて、
  • 見た目にもそれがバレバレ、
    という2つの厳しい条件が必要とされているわけです。

■ 例:

  • × 無効とはいえない:
     ちょっと手続にミスがある程度(住民に通知を忘れたなど)→ 取り消しはできるが無効ではない
  • ○ 無効:
     市役所の職員が勝手に道路工事を禁止する命令書を出した → 重大な瑕疵+明白 → 無効
0 0 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest

0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
上部へスクロール
0
Would love your thoughts, please comment.x
()
x