
■ 1. 絶対的商行為と営業的商行為(商法501条など)
①【定義】
- 絶対的商行為:行為そのものが必ず商行為になる。
- 営業的商行為:営業として行ったときに限り商行為となる。
🔍《例》
- 絶対的商行為:株式会社が株を発行する(会社法上当然に商行為)
- 営業的商行為:八百屋が野菜を売るのは商行為 → 個人が趣味で売るのは商行為でない
② 商人が営業のためにした行為は、すべて商行為と推定される。
👉つまり、商人が仕事でやったっぽい行為は、ほぼ商行為とみなされる。
■ 2. 商行為の特則(商法504条以降)
③【代理の原則】
- 商行為においては、「本人のためにすること」を示さなくても有効(民法と違う!)
- ただし、相手が「本人がいる」と知らなかったときは、代理人に請求できる
🔍《例》
AがBの代理としてCと契約しても、「Bのため」と言わなくても、Bに効力が生じる。
でもCが「Bのこと知らなかった!」なら、Aに支払い請求してOK。
④ 商行為の委任を受けた人(受任者)は、本来の目的から外れない範囲で追加の行為もできる
🔍《例》
仕入れの委任を受けた営業部長が、同じ取引先から配送も任せるようなケースはOK。
⑤ 商行為の委任は、本人が死んでも消えない(民法と違う!)
🔍《民法との違い》
- 民法:委任は死亡で終了
- 商法:営業継続のため、死亡でも続く
⑥ 商人同士(遠くにいる人同士)で承諾期間を決めていない申込みは、「相当期間」で効力が切れる
🔍《例》
東京の商人Aが大阪の商人Bに「仕入れて」と申込み → Bが何日経っても返事しなければ、自動で申込みの効力が切れる
⑦ 商人が、普段から取引している相手(平常取引)からの申込みには、すぐにYES/NOの返事が必要!
🔍《例》
いつも取引してる業者から「今回も100個お願いします!」と来たら、返事しないと自動的に承諾したとみなされる!⚠️
⑧ 商行為で債務を負った人が複数いる場合、自動的に連帯債務になる!
🔍《例》
共同で事業するA・Bが100万円の借入 → 債権者はAにもBにも全額請求できる(連帯)
⑨ 商人が営業の範囲で他人のために何かした場合、報酬を請求できる
🔍《例》
商人Aが、取引先のピンチを救うため急ぎの仕入れを代わりにやってあげた → 報酬請求OK
⑩ 商人が申込みと一緒に受け取った物(例:サンプル品など)がある場合、申込みを断ってもその物を丁寧に保管しなければならない(費用は申込者もち)
🔍《例》
「このサンプル仕入れてください!」と渡されたが、断った → でも雑に扱っちゃダメ。ちゃんと保管する義務あり。
🎯まとめ
番号 | 内容 | ポイント | 例 |
---|---|---|---|
① | 商行為の2種 | 絶対的=常に商行為/営業的=営業で初めて商行為 | 株発行と野菜販売 |
② | 商人の行為推定 | 営業っぽければ商行為と推定 | 通常の販売など |
③ | 代理 | 本人のためと言わなくても効力あり | A→C契約でBに効力 |
④ | 委任の範囲拡大 | 委任以外のことも少しOK | 配送まで引き受ける |
⑤ | 委任の存続 | 死んでも継続 | 継続的営業重視 |
⑥ | 承諾期限なし申込 | 相当期間経過で失効 | 商人A→商人Bへ申込 |
⑦ | 平常取引の申込 | 返事しないと承諾とみなす | 常連取引先の発注 |
⑧ | 商行為の債務 | 自動で連帯債務になる | A・Bの借金 |
⑨ | 報酬請求 | 他人のための営業でOK | ピンチの仕入れ代行 |
⑩ | サンプル保管義務 | 拒否しても保管義務あり | 売ってないけど保管は義務 |