🔹 テーマ⑤:「差押え」と「相殺のタイミング」
✅ ポイント要約:
- 原則:受働債権(差押えられた債権)よりあとに取得した自働債権では相殺できない。
- 例外:差押え後に取得した自働債権でも、差押え前の原因に基づくものなら相殺OK。
✅ 用語のおさらい:
- 自働債権:自分が持ってる「請求できる権利」
- 受働債権:相手から「請求される債務(=相殺される側)」
- 差押え:裁判所が債権をロックすること。債務者が勝手に処分できない。
✅ 具体例①:相殺できないケース(原則)
💬 AさんはBさんに100万円の借金があります(受働債権)。
⚖️ CさんがAさんのこの100万円を差し押さえました。
📅 その後、AさんはBさんに対して50万円の報酬債権を新たに取得(自働債権)。
🔻 この50万円は差押え後に取得した債権なので、原則として相殺できません。
✅ 具体例②:相殺できるケース(例外)
💬 AさんはBさんに100万円の借金があります(受働債権)。
⚖️ Cさんがこの債権を差し押さえました。
📅 その後、Aさんは差押え前から契約していた報酬契約に基づいて50万円を請求できるようになりました(自働債権)。
🔷 この報酬債権は「差押え前の原因(契約)」に基づくので、相殺できます!
✅ さらに注意点:他人の債権を買った場合
💬 Aさんが差押え後に、別の人から債権を買ってBさんに対して請求できるようになった場合、その債権はたとえ原因が差押え前であっても、相殺できません。
📝 他人の債権を差押え後に取得した場合は、例外にならないので注意!
✅ 補足イメージ図(テキスト)
【差押えのタイミング】────→
│
差押え前に原因がある請求権(OK)
│
差押え後に新しく発生した債権(NG)
│
他人から買った債権(NG)
🔸 まとめ(暗記ポイント)
状況 | 相殺できる? | 理由 |
---|---|---|
差押え後に新たに発生した債権 | ❌ | 差押え後取得のため |
差押え前の原因に基づく債権 | ✅ | 原因が差押え前 |
差押え前の原因だが、他人から取得 | ❌ | 自分で取得していないため |
このように、**「いつの原因で自働債権が生まれたか」**がポイントです。
差押え後に債権を持ったからといって、必ず相殺できるわけではありません。