🎯テーマ:
債権と債務が同一人物に帰属したら(混同)、抵当権って消えるの?意味あるの?
👥やりとり形式(Q&A)
🧑🎓質問者:「混同すれば借金チャラになるよね?じゃあ抵当権もいらなくない?」
🧑🏫回答者:「うん、借金は“混同”で消える(民法520条)。でも抵当権は、第三者の権利の目的になってると、消えないことがある(521条ただし書)。」
🧑🎓質問者:「でも抵当権も自分のものなら、使う意味ないよね?勝手に抹消すればよくない?」
🧑🏫回答者:「そのとおり!抵当権が“自分のもの”なら、第三者は関係ない。もはや自由に抹消できる“使えない権利”でしかない。」
🧑🎓質問者:「借金チャラなのに、“家ちょーだい(実行)”って抵当権の意味ないじゃん。」
🧑🏫回答者:「そう。お金請求できないから担保の意味がない。つまり“使わない抵当権”が形式的に残ってるだけ。」
🧑🎓質問者:「結局、“自分で消せる”ってだけだよね?」
🧑🏫回答者:「Exactly(まさに)!もう機能しない抵当権を“消す自由があるだけ”。それが混同後の状態です。」
🔍ポイント要約(法的視点)
項目 | 内容 |
---|---|
混同(民法520条) | 債権と債務が同じ人に帰属すると、債権は消える |
ただし書(521条) | 債権が「第三者の権利の目的」になっている場合は消えない扱いになる |
今回のようなケース | 抵当権も債権も自分に帰属している → 実質使えないが、形式上は残っている |
自由にできること | 自分の意思で抵当権を抹消する(使う意味がないので) |
🧾まとめ
✅ 混同が起きると、債権は実質チャラ(消滅)
✅ でも、抵当権が第三者の権利に関係している場合は、形式上残る(521条ただし書)
✅ ただし、その抵当権が「自分自身のもの」なら、自由に抹消可能
✅ 結局、「使えない抵当権」が形式上残るだけ=自分で“消せる権利”が残るにすぎない
✅ひとことで言うと:
「混同した抵当権は、“使えないけど消せる”、それだけの存在です。」
✅ なぜ「抵当権が混同しても消えないことがある」のか?
➡ 抵当権者(担保に関係する第三者)の利益を保護するためです。
🔍 背景:なぜ第三者の保護が必要?
抵当権というのは、「この土地や建物を担保にしてお金を貸してます」という 第三者に対する“信頼のしくみ” です。
なので、もし勝手に抵当権を消せるとどうなるかというと――
🧨 たとえばこんな事態が…
【登場人物】
- Aさん:土地の持ち主(債務者)
- Bさん:お金を貸した人(抵当権者)
- Cさん:この土地を買った人(第三者)
💥ケース:Cが不利益を受けるパターン
- AがBに借金 → Bが抵当権を設定
- Bがその債権(+抵当権)をCに譲渡
- Cが債権と抵当権の両方を持つように(=混同)
- このとき、混同で抵当権が勝手に消えたら…?
➡ Cは「せっかく担保付きで債権を買ったのに、担保が消えて損する!」
➡ 法律は このC(第三者)の保護 を優先します。
🛡️ 民法521条ただし書の目的は?
「第三者(C)の正当な利益を守るために、混同しても抵当権を消滅させません」
つまり、「あえて残しておく」ことで、
👉 Cが不意打ちで損をしないようにしているんです。
⚠️ じゃあ“自分で自分に混同”した場合は?
たとえば「Aが借金をBから返済して、抵当権ごと自分に戻った」など:
- これは第三者が絡んでいない「自分対自分」なので…
- 自分で抹消してOK/むしろ使えないので意味ない
✅まとめ:なぜ混同でも抵当権が消えないのか?
理由 | 内容 |
---|---|
抵当権は「他人との関係」で成り立つから | 登記を信じて取引する人を守る必要がある |
混同で勝手に消えると損する人が出る | 特に債権を譲り受けた第三者(C)など |
民法521条ただし書は、その人を守る仕組み | 担保が勝手に消えないようにする保険 |
🗣️ひとことで言うと:
「混同でも抵当権が消えないのは、“その担保を信じた人”が損をしないため」です。