💡 意思表示の心裡留保と虚偽表示はどう違うのか?
「Aが冗談で『車をあげる』と言った場合と、AとBが通謀して『土地を売った』と偽装した場合、それぞれどんな効果が生じるのか?」
📋 答え:心裡留保は原則有効、虚偽表示は原則無効
📚 行政書士試験で必ず出題される意思表示の基本論点について、心裡留保(民法93条)と虚偽表示(民法94条)の違い、善意の第三者保護、公序良俗の判断基準まで、具体例を使って分かりやすく解説します。この記事を読めば、合格革命肢別問題544ページの論点が完全に理解できます。
📌 結論:意思表示の有効性と第三者保護
- ✅ 心裡留保:原則有効、相手方が悪意・有重過失なら無効(民法93条)
- ❌ 虚偽表示:原則無効、善意の第三者には対抗不可(民法94条)
- 🛡️ 善意の第三者は両制度で保護される
- 📝 公序良俗は契約成立時点で判断
📋 目次
1️⃣ 公序良俗の判断基準と時点
💡 公序良俗違反の判断時期
最高裁判例(平成15年4月18日)
「契約が公序に反することを目的とするものであるかどうかは、当該契約が成立した時点における公序に照らして判断すべきである。」
🌟 具体例:賭博契約の場合
🎯 事例設定:
- 📅 2020年:賭博が違法だった時代にパチンコ店との契約締結
- 📅 2023年:法改正により同種の賭博が合法化
- ⚖️ 2024年:契約の有効性が争われた
判断:契約成立時(2020年)の法状況で判断するため、現在合法でも当時の契約は無効
2️⃣ 心裡留保(民法93条)の要件と効果
📖 民法93条の構造
民法93条(心裡留保)
1項:意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2項:前項ただし書の場合には、その意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
🔍 心裡留保の判断フローチャート
📊 要件・効果の整理
- 表意者が真意でないことを知っている(冗談、からかい等)
- 相手方の認識:
- 🟢 善意無重過失 → 意思表示は有効
- 🔴 悪意・有重過失 → 意思表示は無効
- 第三者保護:善意の第三者には無効を対抗できない
📝 合格革命544P【問題1】の解説
【問題1-1】自動車譲渡の冗談事例
事実:AがBに「自動車を譲る」と真意でなく言い、Bはその言葉が真意でないと知っていた
判断:❌(誤り)
解説:Bが悪意(真意でないことを知っている)なので、民法93条1項ただし書により意思表示は無効。よってAからBに自動車を譲り渡す義務は生じない。
【問題1-2】カメラ贈与と第三者保護
事実:Aは冗談であることを知りながらBからカメラの贈与を受け、善意のCに売却
判断:✅(正しい)
解説:A悪意により贈与は無効だが、93条2項により善意の第三者Cには無効を対抗できない。よってBはCに所有権を主張できない。
3️⃣ 虚偽表示(民法94条)の要件と効果
📖 民法94条の構造
民法94条(虚偽表示)
1項:相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2項:前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
🔍 虚偽表示の成立要件
📋 要件分析
- 相手方との通謀:当事者双方が合意している
- 真意でない意思表示:実際にはその効果を生じさせる意思がない
- 外部への表示:第三者に対して一定の法律関係があるように装う
⚖️ 法的効果
- ❌ 当事者間では無効(94条1項)
- 🛡️ 善意の第三者には対抗不可(94条2項)
- 🔄 虚偽表示者・相手方の双方が第三者に対抗できない
📝 合格革命544P【問題2】の解説
【問題2-1】虚偽表示の当事者間効力
命題:相手方と通じて行った虚偽の意思表示は、その当事者間においても無効である
判断:✅(正しい)
解説:民法94条1項により、虚偽表示は当事者間でも無効。実際に権利移転等の効果は生じない。
【問題2-2】仮装売買と転売事例
事実:A・B通謀による甲土地の仮装売買後、Bが善意のCに転売
判断:❌(誤り)
解説:94条2項により、A・B双方とも善意の第三者Cに対して売買無効を対抗できない。Bも対抗不可能。
4️⃣ 具体例で理解する両制度の違い
🏡 【事例比較1】不動産取引での違い
🎭 心裡留保のケース
状況:A「冗談で」Bに「土地をタダであげる」と言った
- 💭 Aの内心:本当は譲渡する気がない(真意なし)
- 👂 Bの認識:Aが冗談だと気づかない(善意)
- ⚖️ 結果:贈与契約は有効成立(93条1項本文)
- 🛡️ Bが善意のDに転売→Dも保護される
🤝 虚偽表示のケース
状況:A・Bが通謀して「土地売買」を偽装(実際は債権者隠し)
- 💭 A・B双方の内心:実際には売買する気がない
- 🎭 外部への表示:売買契約があったように装う
- ⚖️ 結果:売買契約は無効(94条1項)
- 🛡️ 善意のCがBから購入→Cは保護される(94条2項)
🚗 【事例比較2】動産売買での適用
区分 | 心裡留保 | 虚偽表示 |
---|---|---|
当事者の意思 | 表意者のみ真意なし | 双方とも真意なし |
通謀の有無 | なし(単独行為) | あり(共同行為) |
原則的効力 | 有効 | 無効 |
第三者保護 | 善意の第三者保護 | 善意の第三者保護 |
5️⃣ 行政書士試験での出題パターン
📝 頻出問題形式
⭕❌ 正誤判定問題
問題例:「心裡留保による意思表示は、相手方が善意であっても無効となる。」
正解:❌
解説:相手方が善意無重過失であれば、心裡留保による意思表示は有効(民法93条1項本文)
📚 事例問題
問題例:「A・B通謀による土地の仮装売買後、Bが善意のCに転売した場合の法律関係」
- 1. AはCに対して無効を主張できる
- 2. BはCに対して無効を主張できる
- 3. A・B双方ともCに対して無効を主張できない ✅
- 4. CはA・Bに対して損害賠償請求できる
📊 出題傾向分析
- 🔥 出題頻度:最高レベル – 毎年必ず2-3問出題
- ⭐ 重要度:S – 絶対に落とせない基本論点
- 📈 難易度:中 – 要件・効果の正確な理解が必要
- 📋 出題形式:○×問題、選択肢問題、事例問題すべてで出題
6️⃣ よくある質問(FAQ)
❓ Q1: 心裡留保で「重過失」の判断基準は?
A: 🔍 相手方が通常の注意を払えば真意でないことを知ることができたにも関わらず、著しく注意を欠いた場合です。例えば、明らかに冗談とわかる状況(酔っぱらいが「全財産あげる」等)で真に受けた場合が該当します。
❓ Q2: 虚偽表示の「通謀」とは具体的にどんな行為?
A: 🤝 当事者双方が「実際には法律効果を生じさせる意思がない」ことを知っており、第三者を欺く目的で外形を作出することです。債権者逃れ、税金逃れ、体裁作りなどが典型例です。
❓ Q3: 善意の第三者の「善意」には重過失者も含まれる?
A: ✅ はい。94条2項の善意は「知らない」ことで足り、重過失があっても保護されます(判例)。これは93条2項と異なる点で、試験でよく問われます。
❓ Q4: 心裡留保と錯誤の違いは?
A: 💭 心裡留保は「わざと真意でない表示をする」(故意)のに対し、錯誤は「勘違いして表示する」(過失)点が異なります。心裡留保は表意者が真意でないことを知っているのが特徴です。
❓ Q5: 公序良俗違反の判断時期が重要な理由は?
A: 📅 契約後に法改正があった場合の判断に影響するためです。契約時適法→後に違法化の場合は有効、契約時違法→後に適法化の場合は無効となり、契約の安定性を保つ重要な基準です。
📌 まとめ:意思表示の心裡留保・虚偽表示
- ✅ 心裡留保:原則有効、相手方悪意・有重過失で無効(民法93条)
- ❌ 虚偽表示:原則無効、善意第三者には対抗不可(民法94条)
- 🛡️ 第三者保護:両制度とも善意の第三者を保護
- 📅 公序良俗:契約成立時点の法状況で判断
- 📝 試験対策:要件・効果・第三者保護を正確に理解
💡 覚え方のコツ:「心裡留保は💭一人の嘘(原則有効)、虚偽表示は🤝二人の嘘(原則無効)、でも🛡️善意の第三者はどちらも守られる」と覚えましょう!
🔍 関連法令・判例
- 📖 民法(e-Gov法令検索)
- ⚖️ 最高裁平成15年4月18日判決(公序良俗判断時期)
- 📊 合格革命行政書士肢別問題集544ページ