① 書面がないとダメ
- 保証契約は**書面(または電磁的方法)**が必須。口約束では無効。
- 理由:保証は重大な負担を伴うので、軽く引き受けさせないため。
② 事業の借金は公正証書が必要
- 事業のための借金を保証する個人(例:社長の家族)は、公正証書で意思表示しないと効力がない。
- 理由:本人が本当にリスクを理解してるか確認するため。
③ 保証債務は「従属する」
- 保証人は「借金本体+利息+遅延損害金+違約金」全部について責任を負う。
- 主たる債務が増えると、それに追随して保証人の責任も増える。
🟨 保証人の権利
④ 催告・検索の抗弁権(ただし連帯保証人にはなし)
- 催告の抗弁権:まず主債務者に請求してよと言える
- 検索の抗弁権:主債務者に資力があるのなら、そっちから取り立ててよと言える
- 🔻でも連帯保証人にはこれらがありません → 主債務者と同じくらい重い責任を負います
⑤ 債権者が動かないと保証人の責任が軽くなる
- 債権者がサボって取り立てを怠って、結果的に主債務者が払えなくなった場合
→ 保証人:「ちゃんとやってれば払ってもらえたよね?それは責任負えないよ」
⑥ 時効は保証人にも波及する
- 主債務者に時効中断の手続き(請求・承認など)をした場合、その効果は保証人にも及ぶ。
⑦ 主債務者の抗弁は保証人も使える
- 主債務者が「契約無効だ」「もう時効だ」と主張できる場合、保証人もそれを主張して払わなくてOK。
⑧ 相殺・取消・解除の抗弁も使える
- 主債務者が「この借金は相殺できる」などと主張できるなら、保証人も同様に債務の履行を拒める。
🟦 共同保証
⑨ 分割が原則
- 共同保証人は基本的に「人数割り」で責任を負う(例:3人なら各1/3)
- でも、連帯保証の合意がある場合は、全額責任あり
⑩ 求償は分別の利益を考慮
- A・B・Cが共同保証人。Aが全額払った場合:
- Aは主債務者に求償できる(当然)
- BやCにも求償できるが、「その時点で得た利益の範囲」でしかダメ(後から得た利息は除外)
🎯今後の流れで触れるかも知れない補足用語:
- 分別の利益:共同保証では「自分の分だけ負担すればOK」という原則
- 求償(きゅうしょう)権:他人の借金を肩代わりしたとき、その分を請求できる権利
⑤の補足
これは「保証人の責任が限定される」重要なルールの1つです。
民法第457条第2項に基づき、**債権者の不作為(例:催告を怠るなど)**によって、保証人が本来免れられたはずの損失を負うことがないように配慮されています。
🔍 具体例で説明
🧍♂️登場人物
- 先生(債権者):生徒にお金を貸した
- Bくん(主たる債務者):先生から1万円借りた本人
- Aくん(保証人):Bくんが払えなかったときに代わりに払うと約束した
📝 状況
Bくんはお小遣いから毎月2,000円ずつ返す予定だったけど、
途中でスマホゲームにハマってお金を全部使っちゃった。
でも、先生は「Bくんに催促するの面倒くさいな〜」と思って半年以上ほったらかしにしてた。
その間にBくんはお金を使い果たして、バイトも辞めて完全に無一文に。
⚖️ Aくんの主張(保証人)
「先生がすぐにBくんに返済を催促してれば、まだお金残ってたし払えてたでしょ?
でも先生が何も言わなかったせいで、Bくんが金使い果たした。
だからその分は俺、払わなくていいよね?」
✅ 結論(保証人の責任の範囲)
保証人Aくんは、
- 先生がちゃんと催促していればBくんから回収できた分については、払わなくていい
- ただし、それ以外の部分(もともとBくんが払えなかった分など)については、責任を負う可能性がある
🟨 ポイント整理
条件 | 保証人の責任 |
---|---|
債権者が取り立てなどの対応を怠った | 一部または全部の責任を免れる可能性あり |
債権者がちゃんと催促していた | 保証人は原則、全額の責任あり |
🔹⑦ 保証人は、主たる債務者が主張できる抗弁をもって債権者に対抗できる
🔁「主たる債務者が断れる理由は、保証人も使える」
✅ 具体例
- Bさんが先生から10万円を借りた(Aさんが保証人)。
- でも契約内容に問題があり、実は時効が完成していた。
- 本来ならBさんは「もう払わなくていいよ(時効だもん)」と主張できる。
👉このとき、保証人のAさんも「それなら自分も払わない」と言える!
🟢つまり、主たる債務者が使える「支払いを拒む理由」は、保証人も使えるということ。
⑧ 主たる債務者が相殺・取消・解除できるなら、保証人もその分は払わなくていい
🧾「主たる債務が減った分だけ、保証人の責任も減る」
✅ 具体例
- Bさんが10万円の借金をしていた。
- でも、Bさんは先生に5万円のバイト代未払いがある(=相殺できる)。
👉このとき:
- Bさんの借金は5万円に減る(相殺で相殺権を行使)
- Aさん(保証人)も、残り5万円だけ払えばいい
📌つまり、主債務者が免れることになった分は、保証人も払わなくてよくなる。
⑨ 共同保証人Aが弁済した場合、主たる債務者と他の保証人Bにも求償できる
🤝「みんなで保証したなら、後から分担」
✅ 具体例
- 主債務:Bさんが10万円の借金
- 保証人:AさんとCさんの2人(共同保証)
👉 Aさんが全部の10万円を払った場合:
- AさんはBさんに「10万円返して」と言える(当然)
- Cさんにも「あなたも半分の5万円出して」と言える(共同保証だから)
🔸ただし、Cさんが「私は3万円分の利益しか受けていない」と主張できれば、その分しか求償できないこともある。
✅ 例2
- 👨🎓先生に対して、Bくんが10万円の借金をした。
- AくんとCくんが「2人で保証するよ」と約束した(共同保証人)。
👉 ある日、先生がAくんに「Bくんが払わないから、代わりに10万円払って」と言ってきた。
Aくんはしぶしぶ 全額10万円を払った。
📌その後…
Aくん:「ねぇ、Cくん!2人で保証したんだから、5万円はあなたの分でしょ?返して!」
→ これが「求償(きゅうしょう)」ってこと。
Aくんが立て替えた分を、Cくんにも負担させる権利のこと。
🔹⑩ 他の保証人が受けた利益の分だけ求償できる(弁済時点)
📉「あとから得た得はカウントされない」
✅ 具体例
- AさんとCさんが共同保証(Aが10万円を肩代わり)
- 弁済時、Cさんは主債務者から3万円の利益を受けていた
👉この場合、AさんがCさんに「3万円分の負担を返して」と言える
❗ ただし、弁済後にCさんがさらに得た分(例えばBさんから後で2万円受け取ったとか)はカウントされない!
⑩ でも、Cくんが受けた「得」の分しかAくんは請求できない(利益の限度)
✅ さらに続きの話:
Cくん:「いや…実はさ、オレBくんから3万円しか助けてもらってないんだよね…」
- たとえば、CくんはBくんから「保証してくれてありがとう!」ってお礼で3万円もらってたとか、
- Bくんの代わりに3万円分の物を受け取ってたとか。
👉 このとき、AくんはCくんに「3万円までしか求償できない」ってルール。
📌つまり、
「Cくんが実際に得してないなら、それ以上は払わせちゃダメ」って考え方。
🧠ポイントのまとめ
項目 | 内容 | ざっくり言うと… |
---|---|---|
⑨ 求償 | 1人で全部払ったら、他の保証人にも「自分の分は返して」って言える | 割り勘ルール! |
⑩ 利益の限度 | でも「他の保証人が得した分」までしか返してもらえないこともある | 得してない人からはムリに取れない! |
🔚 まとめ表
番号 | ポイント | 内容まとめ |
---|---|---|
⑦ | 抗弁の援用 | 主債務者が使える抗弁(時効など)は保証人も使える |
⑧ | 相殺・解除等の効果 | 主債務が軽くなったら、保証人もその分だけ責任を免れる |
⑨ | 求償の対象 | 弁済した保証人は、主債務者と他の保証人に求償できる |
⑩ | 利益の限度 | 他の保証人への求償は、その人が受けた利益の限度まで |
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