🔍 不法原因給付(民法708条):特別なケース(微弱な不法性)
【14】不倫関係にあるAが建物を贈与したが、不法性が軽かったら?
❌ 誤:「ちょっとだけ悪い程度でも、返してとは言えない」
✅ 正:「相手がめちゃくちゃ悪くて自分の不法が軽いなら、返してもらえる」
🟡ポイント解説:
- 民法708条ただし書では、「受益者だけが不法」なときには、返還請求OK。
- 最高裁は、「給付者の不法性がきわめて軽い(微弱)」なら、やっぱり返してOKとしています(最判昭29.8.31)。
🟡例:
- 既婚者Aが、不倫相手Bに未登記建物をあげた。
- でもBはそれをネタに脅したり、金銭目的で近づいた悪質な人物だった。
- この場合、Aの不法性よりBの方が圧倒的に悪質 → Aは建物の返還を請求できる!
⚖️ 不法行為(民法709条〜):契約がなくても損害賠償!
【1】建築ミスでAの絵が損害 → 請求できる?
✅ 請求できる!
- AとCの間に契約関係はないが、Cの手抜き工事によってAの財産(絵画)が損害。
- このように、契約がなくても他人の不注意で損害を受けた場合、不法行為として損害賠償を請求できる(709条)。
🟡例:
- Aが不動産会社から家を買う → その家はC工務店が手抜き施工 → 雨漏りで絵が濡れる → AはCに賠償請求可能!
【2】盗まれた自転車で事故 → 持ち主が責任を負う?
❌ 負いません!
- 自転車は盗難されていた。鍵もかけてあった。
- 怪我をさせたのは犯人であって、持ち主には過失がない。
🟡ポイント:
- 不法行為の成立には「加害者に故意・過失が必要」 → 所有者にそれがないので責任なし。
【3】法人は名誉毀損されても慰謝料を請求できる?
✅ 請求できる!
- 法人にも名誉はある。
- 人間のような感情はなくても、金銭的に評価可能な損害があれば、慰謝料請求OK(最判昭39.1.28)。
🟡例:
- 法人の悪口をネットで書かれて信用がガタ落ち → 売上ダウン → 損害が出た → 慰謝料OK!
【4】一時的な精神障害を自分で招いたら責任ある?
✅ 責任あり!
- 原則:責任能力がない人(重い精神障害者など)は不法行為責任なし(713条本文)。
- 例外:自分の過失で一時的にその状態になったら責任あり(713条ただし書)。
🟡例
- 薬や酒で自分を酩酊状態にして暴れて物を壊した → 責任問われる!
まとめ
問題 | 内容 | 結論 | 補足ポイント |
---|---|---|---|
14 | 微弱な不法で未登記建物を贈与 | 返還請求〇 | 不法性が比較して微弱ならOK(708条ただし書) |
1 | 手抜き工事で他人の財産に損害 | 請求〇 | 契約なくても不法行為成立(709条) |
2 | 盗まれた自転車で事故 | 所有者× | 所有者に過失なし→責任なし |
3 | 法人の名誉毀損 | 慰謝料〇 | 金銭的損害あれば非財産的損害も可(710条) |
4 | 自分の過失で責任無能力に | 責任〇 | 故意・過失での一時的障害には責任あり(713条ただし書) |
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:不法行為とは