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株式制度の全体像を完全理解!譲渡制限・対抗要件・単元株制度まで徹底解説

目次

  1. 株式の基本概念
  2. 単元株制度

1. 株式の基本概念

①株式の定義

ポイント:株式とは、株式会社の社員たる地位を意味します。

具体例

A株式会社の株式を100株保有するB氏は、A社の「社員(株主)」としての地位を持ちます。これは単なる投資商品ではなく、会社の一部を所有し、経営に参加する権利(議決権)や利益配分を受ける権利(配当請求権)などを含む法的地位です。

②株券の発行

ポイント:株式会社は、原則として株券を発行しません。

具体例

C株式会社の株主D氏は、株式を保有していても紙の証券(株券)は受け取りません。株主であることは株主名簿への記載によって証明され、電子的に管理されます。ただし、定款で「株券発行会社」と定めれば株券を発行することも可能です。

③株式譲渡の自由

ポイント:株式は原則として自由に譲渡できますが、定款により譲渡制限を設けることができます。

具体例

自由譲渡:E株式会社(上場企業)の株主F氏は、誰にでも自由に株式を売却できます。
譲渡制限:G株式会社(非上場の同族会社)では定款で「株式の譲渡には会社の承認を要する」と定めており、株主H氏が第三者に株式を売る際は会社の許可が必要です。

④譲渡承認手続き

ポイント:譲渡制限株式の譲渡承認は取締役会(なければ株主総会)の普通決議で行い、承認のない譲渡は会社との関係では無効ですが当事者間では有効です。

具体例

I株式会社の株主J氏が会社の承認を得ずにK氏に株式を譲渡した場合、J氏とK氏の間では有効な売買契約が成立します。しかし、I社はK氏を株主として認めず、株主名簿の書換えを拒否できます。K氏は議決権行使や配当受領ができません。

⑤株式譲渡の対抗要件

ポイント:株式譲渡を会社に対抗するには株主名簿の名義書換えが必要で、第三者への対抗要件は株券発行会社なら株券の所持です。

具体例

会社への対抗:L氏がM氏にN株式会社の株式を譲渡した場合、M氏がN社から配当を受けるには株主名簿の名義をL氏からM氏に変更する必要があります。
第三者への対抗:株券発行会社の場合、M氏が株券を実際に持っていることで、自分が真の株主であることを第三者に主張できます。

⑥名義書換拒絶の効果

ポイント:株式の譲受人の名義書換請求に対して、会社が過失により、または不当に拒絶した場合、会社はその譲渡を否認できません。

具体例

O株式会社の株主P氏が適法にQ氏に株式を譲渡し、Q氏が名義書換を請求したにも関わらず、O社が「書類を紛失した」「担当者が不在」などの理由で不当に拒絶した場合、O社は後からQ氏の株主地位を否定することはできません。

⑦種類株式の発行

ポイント:株式会社が2以上の種類の株式を発行する場合、それぞれの種類について発行可能種類株式総数を定款で定める必要があります。

具体例

R株式会社が普通株式と優先株式を発行する場合、定款で「普通株式の発行可能株式総数:800万株」「優先株式の発行可能株式総数:200万株」と明記する必要があります。これにより各種類株式の発行上限が明確になります。

2. 単元株制度

⑧単元株制度の概要

ポイント:定款で1単元の株式を定めると、株主は株主総会において1単元につき1個の議決権を持つようになります。

具体例

S株式会社が「1単元=100株」と定款で定めた場合、250株を保有するT氏の議決権は2個(250÷100=2.5→切り捨てて2個)となります。残り50株は単元未満株式として議決権がありません。これにより少数株主の議決権行使コストが削減されます。

⑨単元未満株式の買取請求

ポイント:株主は、会社に対して所有する単元未満株式を買い取るように請求できます。

具体例

上記のT氏は、議決権のない50株について「会社で買い取ってください」と請求できます。U株式会社が1株1000円で買い取れば、T氏は5万円を受け取り、200株(2単元)の株主として残ることができます。

⑩単元株式にするための売渡請求

ポイント:定款に定めがあれば、株主は単元未満株式を単元株式数にするために必要な数の株式を売り渡すように請求できます。

具体例

V株式会社(1単元=100株)の株主W氏が80株を保有している場合、定款に売渡請求の定めがあれば、W氏は「20株を売ってください」と会社に請求できます。これにより80株+20株=100株(1単元)となり、議決権を取得できます。

まとめ

株式制度は会社法の中核をなす重要な分野です。株式は単なる投資商品ではなく、会社における社員としての地位そのものを表します。譲渡制限や対抗要件のルールは会社の安定性と取引の安全性を両立させる仕組みであり、単元株制度は効率的な株主総会運営を可能にします。行政書士試験では、これらの制度の趣旨と具体的な手続きを正確に理解することが求められます。特に譲渡承認の効力と対抗要件の違いは頻出ポイントです。

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