「行政書士試験」まで
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虚偽表示と一般債権者の「第三者」

問 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合、Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲土地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。

虚偽表示と一般債権者の「第三者」該当性について

民法94条2項は、通謀虚偽表示に基づく無効を「善意の第三者」に対して対抗できないと規定しています。つまり、仮装の売買であっても、一定の第三者に対しては無効を主張できないのです。

事例の整理

  • A:甲土地の所有者
  • B:Aと通謀して仮装売買契約をした人物
  • F:Bの一般債権者

FがBの一般債権者であっても、差押えをしていない限り、Fは「第三者」には該当しません(最判昭48.6.28)。したがって、Aは、「通謀虚偽表示による売買は無効である」とFに主張(対抗)することができます。

重要なポイント

一般債権者が「第三者」として保護されるのは、単に債権を持っているだけでは不十分で、差押えなどの具体的な権利行使を行ったときに限られます。つまり、虚偽表示に基づいて作られた見せかけの名義を前提に、差押えなどをした者が、はじめて「第三者」に該当します。

結論

したがって、この設問では、Fが善意であっても差押え前であるため、Fは「第三者」ではなく、AはFに対して仮装売買の無効を対抗できます。つまり、設問は誤りです。

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