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② 話して覚える!(行政法)

行政法の判例研究

行政法を理解するためには、重要判例の学習が欠かせません。いくつかの代表的な判例を見ていきましょう。

処分性に関する判例

「処分性」とは、ある行政の行為が「処分」として取消訴訟の対象となるかどうかの問題です。

病院開設中止勧告事件(最高裁平成17年7月15日判決)

この事例では、知事による病院開設中止の「勧告」に処分性があるかが争われました。

一般に「勧告」は行政指導であり、法的拘束力はないため処分性はありません。しかし、この事例では勧告を受けた病院は健康保険法上の保険医療機関の指定を受けられなくなるという実質的な不利益があったため、最高裁は例外的に処分性を認めました。

皆さんは、形式的には「勧告」でも実質的には強制力がある行政指導について、どう思いますか?(反応を待つ)

土地区画整理事業計画決定事件(最高裁平成20年9月10日判決)

この事例では、土地区画整理事業の事業計画決定に処分性があるかが争われました。

最高裁は、事業計画決定により、当該区域内の土地所有者等は建築行為等の制限を受け、また換地処分を受けるという法的効果が生じるとして、処分性を認めました。

こうした判例から分かるのは、「処分性」は形式ではなく実質的な効果で判断されるということです。権利制限的効果があるか、後の段階で争う機会が実質的に確保されているかなどが重要なポイントです。

行政裁量に関する判例

行政には一定の裁量が認められていますが、その限界はどこにあるのでしょうか。

青写真判決(最高裁昭和53年10月4日判決)

建築確認申請が青写真で提出されたことを理由に却下された事例です。最高裁は、建築確認は建築基準法に適合しているかどうかの「覊束行為」(裁量の余地がない行為)であり、図面が青写真であることを理由に却下することは違法と判断しました。

この判例から、行政行為には「裁量行為」と「覊束行為」があることが分かります。裁量行為では行政に判断の余地がありますが、覊束行為では要件を満たせば必ず一定の行為をしなければなりません。

日光太郎杉事件(東京高裁昭和48年7月13日判決)

日光国立公園内の道路拡幅工事により太郎杉などの巨木を伐採する計画が争われた事例です。東京高裁は、行政の裁量判断において「考慮すべき事項を考慮していない」ことを理由に、計画を違法と判断しました。

この判例は、行政裁量の「判断過程の統制」という考え方を示した重要な判例です。単に結論の当否だけでなく、判断過程において適切な要素を考慮したかどうかが審査されるのです。

皆さんは、行政の専門性と裁判所のチェック機能のバランスをどう考えますか?(反応を待つ)

原告適格に関する判例

「原告適格」とは、訴訟を提起する資格のことです。行政事件訴訟法9条は「法律上の利益を有する者」に原告適格を認めています。

新潟空港事件(最高裁昭和57年9月9日判決)

新潟空港の夜間飛行禁止措置の解除に対して、周辺住民が騒音被害を理由に訴訟を提起した事例です。最高裁は「航空法は航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を目的とするものではあるが、当該航空機の航行によって、騒音等の障害を直接的に受ける周辺住民の個々人の生活上の利益を、個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含む」として、原告適格を認めました。

この判例から、原告適格の判断においては、単に処分の根拠法令だけでなく、関連法令も含めた法令の趣旨・目的を考慮することが重要だと分かります。

国家賠償に関する判例

国家賠償法に基づく責任が認められるためには、どのような要件が必要でしょうか。

宇都宮判決(最高裁昭和60年11月21日判決)

パトカーによる追跡中に事故を起こした暴走族のメンバーが国を訴えた事例です。最高裁は「警察官の追跡行為と事故との間に相当因果関係がある」として国の賠償責任を認めました。

この判例から、公務員の行為と損害との間に相当因果関係があれば、直接的に損害を与えなくても国家賠償責任が認められることが分かります。

水俣病関西訴訟(最高裁平成16年10月15日判決)

水俣病患者が国に対して規制権限の不行使(工場排水の規制を怠ったこと)について賠償を求めた事例です。最高裁は「規制権限の不行使が著しく合理性を欠く場合には違法となる」として、国の賠償責任を認めました。

この判例は、行政の不作為(何もしなかったこと)についても国家賠償責任が認められることを示した重要判例です。

皆さんは、行政の不作為責任についてどう思いますか?どこまで行政は責任を負うべきでしょうか?(反応を待つ)

行政法の基本原理の深掘り

行政法の基本原理についてもう少し深掘りしていきましょう。

法律による行政の原理(法律の留保)

行政活動は法律に基づいて行われなければならないという原則です。しかし、どこまで法律の根拠が必要なのかについては議論があります:

  1. 侵害留保説: 国民の権利を制限したり、義務を課したりする場合にのみ法律の根拠が必要
  2. 全部留保説: 全ての行政活動に法律の根拠が必要
  3. 重要事項留保説: 国民の権利義務に関わる重要な事項には法律の根拠が必要

現在の通説・判例は重要事項留保説に近いとされています。

例えば、公立小中学校の授業料を無償とすることには法律の根拠が必要ですが(重要事項)、公園にベンチを設置するのに法律の根拠は不要(重要事項ではない)と考えられています。

法律の優位の原則

行政活動は法律に違反してはならないという原則です。例えば、条例が法律に違反した場合は無効となります。

しかし、最近では「上書き条例」という考え方も出てきています。これは、地方自治の観点から、一定の範囲で条例が法律を「上書き」することを認めるというものです。

皆さんは、地方自治の強化と法律の統一性のバランスをどう考えますか?(反応を待つ)

行政組織法の詳細

行政組織の構造と権限について、もう少し詳しく見ていきましょう。

国の行政組織

国の行政組織は、内閣を頂点として、各省庁が配置されています:

  1. 内閣: 行政権の主体
  2. 内閣府: 内閣の事務を助ける
  3. 省庁: 各分野の行政を担当

さらに、各省庁の下には様々な外局、附属機関、地方支分部局などがあります。

例えば、文部科学省の下には文化庁(外局)、中央教育審議会(附属機関)、地方教育局(地方支分部局)などがあります。

地方公共団体の行政組織

地方公共団体の組織は、基本的に以下のような構造になっています:

  1. 首長(知事、市長など): 執行機関の長
  2. 議会: 議決機関
  3. 行政委員会: 教育委員会、選挙管理委員会など

特徴的なのは「首長主義」(議院内閣制ではなく、大統領制に近い)と「行政委員会制度」(特定の行政分野を首長から独立して担当)です。

例えば、都道府県知事と都道府県議会は相互に独立しており、議会が知事を不信任しても、首相のように当然に辞職する必要はありません(任期中は原則として罷免されない)。

また、教育委員会は首長から独立した行政委員会で、教育行政を担当します。これは教育の政治的中立性を確保するための制度です。

皆さんの住んでいる自治体の行政組織について、どのような特徴がありますか?(反応を待つ)

行政行為の詳細

行政行為について、さらに詳しく見ていきましょう。

行政行為の分類

行政行為は様々な観点から分類されています:

  1. 相手方の権利義務に対する効果
  • 授益的行為:許可、特許、免除など
  • 侵害的行為:命令、禁止、課税など
  1. 行政庁の判断の余地
  • 覊束行為:法律要件を満たせば必ず一定の行為をしなければならない
  • 裁量行為:法律要件を満たしても、行政庁に判断の余地がある
  1. 相手方の申請との関係
  • 申請に対する処分:許可、認可など
  • 職権による処分:命令、課税など

例えば、建築確認は覊束行為・授益的行為・申請に対する処分に分類されます。法律の要件を満たしていれば必ず確認を出さなければならず(覊束)、建築を可能にする(授益的)、申請があって初めて出される(申請に対する処分)からです。

行政行為の効力

行政行為には様々な効力があります:

  1. 公定力: 行政行為は、たとえ違法であっても、取り消されるまでは有効
  2. 不可争力: 一定期間が経過すると、もはや争えなくなる
  3. 執行力: 行政行為の内容を強制的に実現できる
  4. 拘束力: 行政行為をした行政庁自身も、その行為に拘束される

特に「公定力」は行政法の特徴的な考え方です。例えば、建築確認が違法に出されたとしても、取り消されるまでは有効ですので、その確認に基づいて建築することは違法ではありません。

これは行政行為の「安定性」を重視した考え方です。しかし、公定力が及ぶ範囲については議論があります。

皆さんは、行政行為の安定性と適法性のバランスをどう考えますか?(反応を待つ)

行政行為の瑕疵

行政行為に瑕疵(欠陥)がある場合、その効果はどうなるでしょうか:

  1. 無効: 当初から法的効果が生じない重大かつ明白な瑕疵がある場合
  2. 取消し: 有効だが後から取り消される可能性がある場合
  3. 更正: 軽微な瑕疵を修正する場合

例えば、明らかに権限のない者(一般職員など)が行った処分は無効ですが、権限のある者(課長など)が行った手続的に不十分な処分は取消しの対象となります。

無効か取消しかの区別は「重大かつ明白な瑕疵」があるかどうかで判断されますが、具体的な判断は難しいケースが多いです。

行政上の義務と強制執行

行政上の義務を履行させるための手段について、もう少し詳しく見ていきましょう。

間接強制と直接強制

間接強制とは、義務者に間接的な圧力をかけて義務の履行を促す方法です:

  1. 執行罰: 義務を履行しない場合に制裁金を課す方法
  2. 強制徴収: 金銭債務について強制的に徴収する方法

一方、直接強制とは、行政機関が物理的に強制力を行使する方法です。現在の日本では、特別の法律の根拠がある場合にのみ認められています。

例えば、道路上の放置自転車の撤去などは直接強制の例です。

代執行の要件と手続

行政代執行は、「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反する」場合に行われます。

手続としては:

  1. 戒告(期限を定めて履行を催告)
  2. 代執行令書による通知
  3. 代執行の実施
  4. 費用の徴収

例えば、違法建築物の除却命令に従わない場合、行政が代わりに取り壊して費用を請求する代執行が行われることがあります。

即時強制

即時強制とは、急迫した行政上の障害を除去するために、義務を課すことなく直接に人の身体や財産に実力を行使する方法です。

例えば、感染症患者の強制入院、精神障害者の措置入院などが該当します。これらは本人の意思に関わらず、公衆衛生や公共の安全のために行われる措置です。

即時強制は人権侵害の危険性が高いため、法律の根拠が厳格に要求されます。

皆さんは、こうした行政上の強制執行制度をどう思いますか?強すぎるでしょうか、それとも公益のために必要でしょうか?(反応を待つ)

行政指導の実際

行政指導は、法的拘束力はないものの、実際の行政では非常に重要な役割を果たしています。

行政指導の類型

  1. 規制的行政指導: 一定の行為を控えるよう求めるもの
  2. 助成的行政指導: 一定の行為を行うよう促すもの
  3. 調整的行政指導: 私人間の利害調整を図るもの

例えば、建築計画の際に「周囲の景観に配慮した設計にしてください」と指導するのは規制的行政指導、「この補助金制度を活用してはどうですか」と促すのは助成的行政指導、「隣地との境界について話し合いを持ってください」と促すのは調整的行政指導です。

行政指導の限界

行政手続法では、行政指導の限界として以下のような規定があります:

  1. 行政指導は任意の協力によってのみ実現されるものであり、強制してはならない
  2. 行政指導に従わないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない
  3. 行政指導を行う際には、目的、内容、責任者を明示しなければならない
  4. 相手方から行政指導の中止を求められた場合、行政指導を継続する理由がなければ中止しなければならない

しかし、現実には「従わないと許可が出ない」という事実上の圧力がかかることも少なくありません。

要綱行政

要綱とは、法的拘束力のない行政機関内部の指針のことです。しかし、実際には要綱に基づく行政指導を通じて、開発事業者などに事実上の義務を課すことがあります。

例えば、マンション建設に際して「要綱」で定められた緑化率や駐車場台数の確保などを「指導」することが一般的に行われています。

こうした「要綱行政」は法的根拠がなく問題視されることもありますが、迅速かつ柔軟な行政運営を可能にするというメリットもあります。

皆さんは、法的拘束力のない行政指導が実質的な規制として機能することについて、どう思いますか?(反応を待つ)

情報公開制度の実際

情報公開制度の運用について、もう少し詳しく見ていきましょう。

情報公開請求の方法

情報公開請求は、請求書を提出することで行います。請求書には以下の事項を記載します:

  1. 氏名・住所
  2. 請求する行政文書の名称等
  3. その他必要事項

行政機関は原則として30日以内に開示・不開示の決定をします。

不開示情報

以下のような情報は不開示とされます:

  1. 個人情報(プライバシー保護)
  2. 法人情報(営業秘密等)
  3. 国の安全等に関する情報
  4. 公共の安全等に関する情報
  5. 審議・検討等情報
  6. 事務・事業情報

ただし、「公益上の理由による裁量的開示」として、公益上特に必要があると認められる場合には、開示されることもあります。

部分開示

文書の一部に不開示情報が含まれている場合は、その部分を除いて開示されます(部分開示)。実際の開示文書では、不開示部分が黒塗りされていることが多いです。

例えば、ある報告書に個人名が含まれている場合、その個人名の部分だけが黒塗りされて開示されます。

不服申立てと訴訟

開示・不開示決定に不服がある場合は、行政不服審査法による不服申立てや、行政事件訴訟法による訴訟を提起することができます。

特に、「インカメラ審理」(裁判所が非公開で不開示情報を見分する手続)が導入され、より実効的な司法審査が可能になっています。

皆さんは、情報公開制度を利用したことがありますか?また、どのような情報を知りたいと思いますか?(反応を待つ)

個人情報保護制度の実際

個人情報保護制度について、もう少し具体的に見ていきましょう。

行政機関個人情報保護法の適用範囲

この法律は、行政機関が保有する個人情報の取扱いについて定めています。「行政機関」とは、各省庁や外局などの国の機関を指します。

地方公共団体については、各自治体の個人情報保護条例が適用されます。

個人情報の取扱い原則

行政機関が個人情報を取り扱う際の原則として:

  1. 利用目的の特定・明示
  2. 利用目的による制限
  3. 正確性の確保
  4. 安全確保の措置
  5. 透明性の確保

などが定められています。

開示請求等の手続

本人は、行政機関が保有する自己に関する保有個人情報について:

  1. 開示請求
  2. 訂正請求
  3. 利用停止請求

をすることができます。

例えば、役所が保管している自分の健康診断データに誤りがあった場合、訂正請求をすることができます。

マイナンバー制度との関係

マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の分野で効率的な情報管理を行うための制度です。この制度の導入に伴い、特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)の保護について、より厳格な規制が設けられています。

例えば、特定個人情報保護評価(影響評価)の実施や、罰則の強化などが図られています。

しかし、マイナンバーによる情報連携には「プライバシー侵害の危険」と「行政の効率化」というトレードオフの問題があります。

皆さんは、マイナンバー制度のメリットとデメリットをどう考えますか?(反応を待つ)

行政不服審査法の詳細

行政不服審査法は、行政処分に不服がある場合に、裁判所に訴える前に行政機関内部で争う制度を定めた法律です。

不服申立ての種類

平成26年改正後の行政不服審査法では、不服申立ての種類が「審査請求」に一元化されました(改正前は「異議申立て」と「審査請求」がありました)。

例えば、税務署長の処分に不服がある場合は、国税不服審判所長に対して審査請求をします。

審理の手続

審査請求の審理手続として、以下のような制度が設けられています:

  1. 審理員制度: 処分に関与していない職員が審理を担当
  2. 口頭意見陳述: 審査請求人が口頭で意見を述べる機会
  3. 物件の提出: 証拠書類等の提出
  4. 閲覧・謄写: 提出された証拠書類等の閲覧・謄写
  5. 審理員意見書: 審理員による意見書の提出

これらの制度により、公正な審理が確保されることが期待されています。

第三者機関によるチェック

審査請求に対する裁決の前に、第三者機関(行政不服審査会等)への諮問が義務付けられています。これにより、より客観的な判断が可能になっています。

例えば、情報公開請求の不開示決定に対する審査請求では、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に諮問され、同審査会の答申を踏まえて裁決がなされます。

皆さんは、行政不服審査制度と司法審査(訴訟)のどちらが使いやすいと思いますか?(反応を待つ)

行政法と司法の関係

行政に対する司法のチェックについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

司法審査の範囲

行政の判断に対して、裁判所がどこまで踏み込んで審査できるかという問題があります:

  1. 覊束行為: 裁判所が全面的に審査可能
  2. 裁量行為: 裁量権の逸脱・濫用の有無のみ審査(裁量権の踰越・濫用論)

例えば、建築確認は覊束行為なので、裁判所は建築基準法への適合性を全面的に審査できます。一方、公務員の懲戒処分は裁量行為なので、「社会観念上著しく妥当を欠く」場合にのみ違法とされます。

違法性の承継

先行処分(例:都市計画決定)の違法性が後行処分(例:建築確認拒否)に承継されるかという問題があります。

原則として違法性は承継されませんが、例外的に承継される場合もあります(先行処分と後行処分が一連の手続として密接に関連している場合など)。

この問題は、どの段階で争うべきかという実務上重要な問題に関わります。

執行停止の要件

行政事件訴訟法25条による執行停止の要件は:

  1. 「回復困難な損害を避けるため緊急の必要がある」こと
  2. 「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」がないこと

例えば、建物の除却命令に対して取消訴訟を提起している場合、執行停止が認められなければ、訴訟中に建物が解体されてしまい、勝訴しても意味がなくなってしまいます。

しかし、実際には執行停止が認められるケースは少なく、この点が行政訴訟の実効性を低下させているという指摘もあります。

皆さんは、行政に対する司法のチェックは十分だと思いますか、それとも不十分だと思いますか?(反応を待つ)

行政法の最新動向

最後に、行政法の最新動向について見ていきましょう。

規制改革と行政法

従来の事前規制型から事後チェック型への移行が進んでいます。例えば:

  • 許可制から届出制へ
  • 立入検査から報告徴収へ
  • 行政処分から行政指導へ

こうした変化は、行政コストの削減や規制の柔軟化をもたらす一方で、事後的な監視体制の強化が課題となっています。

例えば、タクシー業界では規制緩和によって参入障壁が下がりましたが、その結果として様々な問題も生じました。

行政のデジタル化

行政手続のオンライン化や、行政情報の電子化が進んでいます。例えば:

  • 電子申請システム
  • 電子情報公開
  • マイナポータル

こうした電子化は利便性向上をもたらす一方で、セキュリティやデジタルデバイドの問題も生じています。

例えば、マイナンバーカードを使ったコンビニでの証明書交付サービスは便利ですが、高齢者など情報弱者への配慮も必要です。

行政法のグローバル化

国際条約や国際機関の決定が国内行政法にも影響を与えるようになっています。例えば:

  • 環境規制(パリ協定など)
  • 人権保障(人権条約など)
  • 経済規制(WTOルールなど)

こうしたグローバル化は、国内法の解釈や運用にも影響を与えています。

例えば、日本の公共事業の入札制度は、WTOの政府調達協定の影響を受けて変化してきました。

皆さんは、こうした行政法の変化のうち、特にどの分野に関心がありますか?(反応を待つ)

総まとめ

ここまで、行政法の様々な分野について学んできました。行政法は私たちの日常生活と密接に関わる法分野であり、行政書士としての業務にも直結する重要な法分野です。

行政法の学習では、以下の点を意識しましょう:

  1. 体系的理解: 行政組織法、行政作用法、行政救済法という体系を理解する
  2. 判例学習: 重要判例を通じて理論を具体的に理解する
  3. 実務的視点: 実際の行政の現場でどのように運用されているかを意識する

行政法の体系(全体像の再確認)

改めて、行政法の全体像を確認しておきましょう:

  1. 行政組織法
  • 国の行政組織(内閣、各省庁など)
  • 地方公共団体の組織(首長、議会、行政委員会など)
  1. 行政作用法
  • 行政行為(許認可、命令、確認など)
  • 行政立法(政令、省令、規則など)
  • 行政計画(都市計画、環境計画など)
  • 行政契約(公共調達、指定管理者など)
  • 行政指導(勧告、助言など)
  • その他の行政活動(事実行為、行政調査など)
  1. 行政救済法
  • 行政上の不服申立て(行政不服審査法)
  • 行政事件訴訟(行政事件訴訟法)
  • 国家賠償(国家賠償法)
  • 損失補償
  1. 行政手続法
  • 申請に対する処分の手続
  • 不利益処分の手続
  • 行政指導の手続
  • 届出の手続
  1. 情報公開・個人情報保護
  • 情報公開制度
  • 個人情報保護制度

皆さんは、これらの中でどの分野が特に難しいと感じましたか?(反応を待つ)

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