php 1-15 仮の義務付け - 行政書士勉強ログ
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1-15 仮の義務付け

仮の義務付けとは、行政事件訴訟において、処分や裁決の取り消し訴訟や無効確認訴訟が提起された場合に、その判決が確定するまでの間、裁判所が暫定的に義務を課すことをいいます。
もう少し具体的にご説明しますね。
通常、行政の処分や裁決に不服がある場合、その効力を争う訴訟(取消訴訟など)を起こしても、訴訟中にその処分や裁決の効力が停止されるわけではありません。これを「執行不停止の原則」といいます。
しかし、この原則を貫くと、もし後で処分や裁決が違法と判断されたとしても、それまでの間に国民が不利益を被ってしまう可能性があります。そこで、一定の要件を満たす場合に、裁判所が暫定的に行政庁に対して特定の行為を義務付けることができる制度が設けられています。これが「仮の義務付け」です。
例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 生活保護の申請が却下された人が、その取り消しを求めて訴訟を起こした場合、訴訟中に生活に困窮するのを避けるために、裁判所が暫定的に生活保護費の支給を命じる。
  • 建築確認申請が不許可になった人が、その取り消しを求めて訴訟を起こした場合、訴訟中に工事を一時的に許可するよう裁判所が命じる。
    仮の義務付けが認められるためには、一般的に以下の要件が必要とされています。
  • 重大な損害を避けるため緊急の必要性があること: 権利や利益が侵害され、放置すれば回復困難な損害が生じるおそれがある場合に限られます。
  • 本案訴訟で原告の請求に理由があるとみられること(権利の存在の蓋然性): 訴訟で争われている処分や裁決が違法である可能性が高いと裁判所が判断する必要があります。
  • 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと: 仮の義務付けによって、社会全体の利益が著しく損なわれるような場合には認められません。
    仮の義務付けは、あくまで判決が確定するまでの暫定的な措置であり、本案訴訟の結果によってその効力が左右されます。

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