「親の代から入っているから」「万が一に備えて」と言われ、何十年も支払い続けてきた終身保険。しかし、実際に保険金を受け取る時になって初めて気づく現実があります。本当に必要だったのは別のものだったのかもしれません。
我が家の終身保険の悲劇
私の父は40年近く、月々15,000円の終身保険料を払い続けてきました。「家族のため」と信じて…。
しかし、父が他界した後、私たちが受け取った保険金は500万円。40年間で支払った総額は約720万円。単純計算で220万円のマイナスとなったのです。
「でも、保障があるという安心感があったから…」と母は言います。本当にそれだけの価値があったのでしょうか?
終身保険の落とし穴
終身保険の最大の問題点は以下の通りです:
- インフレに弱い:40年前の500万円と現在の500万円では価値が大きく異なります
- 機会損失が大きい:同じ金額を投資に回していれば、はるかに大きな資産になっていた可能性があります
- ニーズの変化に対応できない:若いときと高齢になってからでは必要な保障が異なります
金融庁の資産形成レポートによれば、日本人の多くが保険を「貯蓄」と混同して考えている実態があります。
本当に必要だったのは「掛け捨て+投資」という選択肢
もし父が選んだ道が違っていたら?
より賢い選択肢
- 定期保険(掛け捨て)で必要な保障を確保:月5,000円程度
- 残りの10,000円を長期投資(積立NISA等):年利5%で40年間積み立てた場合
このシンプルな方法で、父が他界した時点での資産は:
- 保険金:5,000万円(定期保険の保障額)
- 投資資産:約1,500万円(複利効果)
合計で6,500万円以上になっていた計算です。終身保険の13倍以上の資産形成が可能だったのです。
親の世代と現代の違い
なぜ親世代は終身保険を選んだのでしょうか?
- 高度経済成長期の価値観:「保険=貯蓄」という認識が一般的だった
- 投資商品の選択肢が少なかった:現在のようなNISAやiDeCoなどの制度がなかった
- 平均寿命の違い:保険設計時の想定と現実の乖離
生命保険文化センターの調査によれば、現在の若い世代ほど「保険は保障、投資は投資」と明確に分けて考える傾向があります。
あなたの家庭に本当に必要なもの
では、現代の家庭に真に必要な保障とは何でしょうか?
ライフステージ別に必要な保障
- 子育て世代:遺族保障(定期保険)+ 医療保険 + 教育資金形成(投資)
- 中年期:医療・介護保障 + 老後資金形成(投資)
- シニア期:医療・介護保障(保険) + 生活資金(投資資産の取り崩し)
保険選びの3つの原則
- 必要な保障は「掛け捨て」で賢く確保する
- 資産形成は保険商品ではなく投資で行う
- ライフステージの変化に合わせて見直す
まとめ:親の選択を責めるのではなく、学びに変える
親世代の選択は、当時の情報と環境の中では理にかなっていたのかもしれません。しかし、時代は変わりました。今、私たちができるのは:
- 過去の選択を悔やむのではなく、教訓として活かすこと
- 現代の金融知識を身につけ、次世代に伝えること
- 自分自身の保険と資産形成を見直すこと
「親がしていたから」ではなく、「なぜ必要なのか」を考える。それが、親から受け継ぐべき本当の知恵なのかもしれません。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の状況に応じた具体的なアドバイスについては、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。