はじめに
「高額療養費制度を使えば医療費が戻ってくると聞いたけど、実際にいくら戻ってくるのかわからない…」
このような疑問にお答えするため、具体的な計算例を使って、実際の還付額を詳しく解説していきます。
具体的な計算例で見る還付額
例1:一般的な会社員の入院ケース(35歳・年収500万円)
医療費の状況
- 入院費用:100万円
- 窓口負担(3割):30万円
計算方法
- 所得区分:区分ウ(年収約370~約770万円)
- 自己負担限度額の計算:
- 基準額:80,100円
- 超過分:(300,000円 – 267,000円) × 1% = 330円
- 合計:80,100円 + 330円 = 80,430円
還付額の計算
- 支払った医療費:300,000円
- 自己負担限度額:80,430円
- 還付額:300,000円 – 80,430円 = 219,570円
→ 約22万円が戻ってきます
例2:高齢者の通院ケース(75歳・年金収入200万円)
医療費の状況
- 通院・薬代:50万円
- 窓口負担(1割):5万円
計算方法
- 所得区分:一般所得者
- 自己負担限度額:18,000円(月額)
還付額の計算
- 支払った医療費:50,000円
- 自己負担限度額:18,000円
- 還付額:50,000円 – 18,000円 = 32,000円
→ 3.2万円が戻ってきます
例3:出産入院ケース(28歳・年収300万円)
医療費の状況
- 入院費用(合併症あり):80万円
- 窓口負担(3割):24万円
計算方法
- 所得区分:区分エ(年収約370万円以下)
- 自己負担限度額:57,600円
還付額の計算
- 支払った医療費:240,000円
- 自己負担限度額:57,600円
- 還付額:240,000円 – 57,600円 = 182,400円
→ 約18.2万円が戻ってきます
例4:子どもの入院ケース(5歳・両親の年収600万円)
医療費の状況
- 入院費用:70万円
- 窓口負担(2割):14万円
計算方法
- 所得区分:区分ウ(年収約370~約770万円)
- 自己負担限度額の計算:
- 基準額:80,100円
- 超過分なし(医療費が267,000円未満のため)
還付額の計算
- 支払った医療費:140,000円
- 自己負担限度額:80,100円
- 還付額:140,000円 – 80,100円 = 59,900円
→ 約6万円が戻ってきます
もっとお得に!知って得する制度活用法
1. 限度額適用認定証を使えば立て替え不要
例:先ほどの会社員の入院ケース
- 通常の場合:30万円支払い → 約22万円が後から戻る
- 認定証使用:最初から約8万円の支払いで済む
- メリット:約22万円の立て替えが不要に!
2. 世帯合算で還付額アップ
計算例:夫婦での通院ケース(年収500万円世帯)
- 夫の医療費:150,000円
- 妻の医療費:100,000円
- 合算:250,000円
- 自己負担限度額:80,430円
- 還付額:250,000円 – 80,430円 = 169,570円
→ 別々より合算したほうが還付額アップ!
3. 多数回該当でさらにお得に
例:がん治療で4ヶ月連続通院の場合(区分ウ)
- 1~3回目:80,100円+超過分
- 4回目以降:44,400円
- 4ヶ月目からの節約額:約35,700円
申請手続きの流れ
- 必要書類を準備
- 領収書(原本)
- 健康保険証
- 印鑑
- 通帳
- マイナンバーカード
- 申請窓口に提出
- 国民健康保険:市区町村の窓口
- 健康保険:勤務先か保険組合
- 後期高齢者医療制度:広域連合
- 支給までの期間
- 申請から約2~3ヶ月
- 指定口座に振り込み
よくある質問(FAQ)
Q: 医療費の合計がいくらを超えたら制度が使えますか?
A: 1ヶ月の医療費総額(10割)が約40万円を超えると目安になります(3割負担の場合)。
Q: 入院時の食事代は対象になりますか?
A: 対象外です。ただし、住民税非課税世帯は別途減額制度があります。
Q: 高額な医療費が予想される場合、事前に準備できることはありますか?
A: 限度額適用認定証の申請がおすすめです。窓口での支払いが自己負担限度額で済みます。
まとめ
高額療養費制度は、一見複雑に見えますが、実際の計算例を見ると理解しやすくなります。特に、以下の3点を覚えておくと便利です:
- 年収で自己負担限度額が決まる
- 限度額認定証で立て替えが不要に
- 世帯合算や多数回該当でさらにお得に
医療費が高額になりそうな時は、早めに加入している保険者に相談することをおすすめします。