「もしも」の時のお金の話は誰も考えたくないもの。でも、家族を守るためには知っておくべき重要な情報です。夫が亡くなった場合に受け取れる「遺族年金」と「生命保険」の関係性について、誰にでもわかりやすく解説します。
遺族年金とは?実際にいくらもらえるのか
遺族年金とは、国や勤め先の年金制度から支給される「公的な保障」です。実際の金額は驚くほど違いがあります。
遺族基礎年金の場合(国民年金)
- 子どもがいる妻:月額約8万円+子ども加算(1人目・2人目各約4万円、3人目以降各約1.3万円)
- 子どもがいない妻:原則として支給なし(夫が国民年金のみの場合)
「えっ、子どもがいないと何ももらえないの?」と驚く方も多いでしょう。実は国民年金だけに加入していた場合、子どものいない配偶者への遺族年金は原則として支給されません。
遺族厚生年金の場合(厚生年金)
- 子どもがいる妻:遺族基礎年金+遺族厚生年金(夫の厚生年金の約75%)
- 子どもがいない妻(40歳未満):夫の厚生年金の約75%を5年間のみ受給
- 子どもがいない妻(40歳以上65歳未満):夫の厚生年金の約75%を継続受給
厚生労働省の統計によれば、遺族厚生年金の平均月額は約9万5千円ですが、夫の収入や加入期間によって大きく変わります。
中野さん(42歳)の夫は会社員として25年間勤務後に亡くなりました。中野さんには10歳の子どもが一人。受給できる遺族年金は月額約17万円(年間約204万円)になりました。
「遺族年金だけで生活できる?」現実を考える
平均的な遺族年金額と実際の生活費を比較してみましょう。
- 平均的な遺族年金(子ども1人の場合):月額15〜20万円
- 40代女性と子ども1人の標準的な生活費:月額25〜30万円
生命保険文化センターの調査によれば、遺族の約70%が「遺族年金だけでは生活が厳しい」と回答しています。特に住宅ローンが残っている場合や教育費がかかる時期は、大きな資金不足に陥るリスクがあります。
生命保険の役割とは?遺族年金との関係性
生命保険は「遺族年金で足りない部分を補う」役割があります。では、どのように保険金額を設定すべきでしょうか?
必要な生命保険金額の計算例
40歳夫・38歳妻・子ども10歳の家族の場合:
- 今後の生活費総額の計算:
- 月25万円×12ヶ月×30年 = 9,000万円
- 遺族年金で賄える金額:
- 月17万円×12ヶ月×30年 = 6,120万円
- 住宅ローン残高:
- 2,500万円(団信未加入の場合)
- 教育費:
- 大学まで = 約1,000万円
- 必要な生命保険金額:
9,000万円 + 2,500万円 + 1,000万円 – 6,120万円 = 約6,380万円
遺族年金と生命保険の組み合わせ戦略
遺族年金を正確に把握する方法
- ねんきんネットで自分の年金記録と見込み額を確認
- ねんきん定期便で最新の加入状況を確認
- 年金事務所での個別相談(予約制)
生命保険選びの3つのポイント
- 掛け捨ての定期保険を基本に:必要保障期間が終わったら見直し可能
- 収入保障保険も検討:毎月一定額が支払われるため、遺族年金と同じ感覚で生活設計しやすい
- 団体信用生命保険(団信)への加入:住宅ローンがある場合は必須
よくある疑問にお答えします
Q1: 再婚したら遺族年金はどうなる?
A: 再婚すると遺族年金の受給権は失われます。ただし、子どもへの加算部分は継続されます。
Q2: 遺族年金は非課税?生命保険金は?
A: 遺族年金は非課税です。一方、生命保険金は相続税の対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠があります。
Q3: パートで働くと遺族年金は減額される?
A: 60歳未満で年収が約160万円を超えると、超えた分に応じて遺族厚生年金が減額される場合があります。
まとめ:今からできる備え
「遺族年金だけでは足りない」という現実を知った今、できることは:
- 正確な情報収集:自分の家庭が受け取れる遺族年金額を確認する
- 必要保障額の計算:家族構成や生活設計に合わせた必要金額を算出
- 最適な保険の選択:必要なときに必要な金額を受け取れる保険設計
不安があるなら、ファイナンシャルプランナーへの相談も検討してみてください。家族の未来を守るための第一歩は、正しい知識を持つことから始まります。
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