子どもの教育資金、非課税で贈与する方法

子どもや孫の将来のために教育資金を贈与したいと考える方は多いでしょう。しかし、一般的に贈与には贈与税がかかります。ありがたいことに、日本には教育資金を非課税で贈与できる特例制度があります。この記事では、子どもの教育資金を非課税で贈与する方法について詳しく解説します。

目次

  1. 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは
  2. 非課税制度を利用するメリット
  3. 非課税制度の適用条件
  4. 教育資金として認められる使途
  5. 非課税措置の手続き方法
  6. 年間110万円の基礎控除との併用
  7. 教育資金贈与の注意点
  8. まとめ:計画的な教育資金の贈与を

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは

「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」は、30歳未満の子どもや孫に対して教育資金を贈与する際に、一定の条件を満たせば最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。この制度は平成25年(2013年)から導入され、その後複数回延長されています。

この制度を利用するためには、金融機関等との間で「教育資金贈与信託契約」を結び、専用口座を開設する必要があります。

非課税制度を利用するメリット

1. 最大1,500万円まで非課税

通常の贈与では、年間110万円を超える贈与に対して10%~55%の贈与税が課されますが、この制度を利用すれば最大1,500万円まで非課税で贈与できます。

2. 教育費の確保

子どもや孫の教育資金を確実に確保できるため、将来の教育費の心配が軽減されます。

3. 資産の早期移転が可能

高齢者から若年世代への資産移転を促進し、相続税対策にもなります。

非課税制度の適用条件

贈与者(祖父母・父母など)

  • 贈与者の年齢制限はありません
  • 直系尊属(祖父母、父母など)であること

受贈者(子・孫など)

  • 30歳未満であること
  • 贈与者の直系卑属(子・孫など)であること
  • 日本国内に住所を有すること

非課税限度額

  • 学校等に支払われる金銭:1,500万円まで
  • 学校等以外に支払われる金銭(習い事など):500万円まで

教育資金として認められる使途

学校等に対する費用(上限1,500万円)

  • 入学金、授業料、施設設備費
  • 学校給食費
  • 修学旅行費、学用品費
  • 教科書代、通学用制服代
  • 大学・大学院の授業料
  • 留学費用

学校等以外の費用(上限500万円)

  • 塾や習い事の月謝
  • 受験料、検定料
  • スポーツクラブやピアノ教室などの費用
  • 通信教育の費用
  • 学習塾の費用
  • 英会話教室の費用

※注意:ゲーム機や娯楽目的のものは対象外です。

非課税措置の手続き方法

1. 金融機関で専用口座を開設

信託銀行や都市銀行、地方銀行、ゆうちょ銀行などの金融機関で、「教育資金贈与専用口座」を開設します。

2. 必要書類の準備

  • 贈与者と受贈者の戸籍謄本(直系関係の証明)
  • 贈与者と受贈者のマイナンバー
  • 贈与者と受贈者の本人確認書類
  • 印鑑(金融機関によって異なる)

3. 教育資金管理契約の締結

金融機関と「教育資金管理契約」を締結します。

4. 教育資金の支払い

教育資金の支払いが発生したら、領収書等を金融機関に提出して、専用口座から引き出します。

5. 定期的な報告

教育資金の使用状況について、金融機関に定期的に報告する必要があります。

年間110万円の基礎控除との併用

教育資金の一括贈与の非課税措置は、通常の贈与税の基礎控除(年間110万円)と併用することができます。つまり、教育資金の贈与とは別に、年間110万円までの現金贈与も非課税で行うことが可能です。

例えば、教育資金として1,500万円を贈与した上で、さらに別途110万円を贈与しても、合計1,610万円が非課税となります。

教育資金贈与の注意点

1. 期間限定の制度である

この制度は期間限定で、現在は令和5年(2023年)3月31日までとなっていますが、過去に何度か延長されているため、最新情報の確認が必要です。

2. 残額の取扱い

受贈者が30歳になった時点で、口座に残っている資金は贈与税の課税対象となります。

3. 贈与者が亡くなった場合

贈与者が亡くなった時点で、残額のうち使用見込みのない金額は相続税の課税対象となる可能性があります。ただし、受贈者が23歳未満、または学校等に在学している場合は例外規定があります。

4. 教育資金以外への使用は不可

教育資金として認められない用途に使用した場合は、贈与税が課される可能性があります。

まとめ:計画的な教育資金の贈与を

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置は、子どもや孫の教育資金を確保しつつ、世代間の資産移転を効率的に行うことができる優れた制度です。以下のポイントを押さえて、計画的に活用しましょう。

  • 最大1,500万円まで非課税で贈与可能
  • 30歳未満の子どもや孫が対象
  • 専用口座の開設と適切な管理が必要
  • 使途は教育関連に限定される
  • 通常の贈与税の基礎控除との併用も可能

この制度を活用することで、大切なお子さんやお孫さんの教育を経済的に支援することができます。まずは最寄りの金融機関に相談し、自分の状況に合った教育資金贈与の方法を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談を目的としたものではありません。実際の贈与を行う際は、税理士等の専門家にご相談ください。

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