がん経験者が語る:知っておきたかった保険の話

がんと診断されたとき、誰もが大きな不安を抱えます。治療のこと、仕事のこと、そして経済的な負担のことも。私たちががん経験者から聞いた「知っておきたかった保険の話」をまとめました。これからがん保険を検討している方、すでに罹患した方、そしてご家族の方に、実体験に基づいた貴重な情報をお届けします。

目次

  1. がん経験者の声:保険で助かったこと
  2. がん経験者の後悔:こうしておけばよかった
  3. がん治療にかかる実際の費用
  4. 公的医療保険だけではカバーできない部分
  5. がん経験者が推奨する保険の選び方
  6. がん罹患後でも加入できる保険はあるのか
  7. 保険金請求時に知っておくべきこと
  8. 経済的サポートを受けられる公的制度
  9. がん経験者からのアドバイス
  10. まとめ:いま始められること

がん経験者の声:保険で助かったこと

診断給付金の重要性

「がんと診断されてすぐに100万円の診断給付金が下りたことで、治療に専念できる環境を整えることができました。仕事を休職したときの収入減をカバーできたのは本当に助かりました」(45歳・乳がん経験者)

入院給付金の日数制限なし

「私の場合、治療が長期化し、入退院を繰り返しました。入院給付金の支払い日数に制限がない保険に入っていたため、経済的な不安なく治療に専念できました」(52歳・大腸がん経験者)

通院給付金の価値

「抗がん剤治療は外来で行われることが多く、入院はせず通院が中心でした。通院給付金があったことで、交通費や付添いの家族の負担も軽減できました」(38歳・リンパ腫経験者)

先進医療特約の効果

「免疫療法を選択したとき、保険の先進医療特約がカバーしてくれました。300万円近くかかった治療費が保険でまかなえたのは大きかったです」(60歳・前立腺がん経験者)

がん経験者の後悔:こうしておけばよかった

保障内容の確認不足

「私はがん保険に入っていたつもりでしたが、実際に請求してみると、上皮内がんは保障対象外だったんです。契約時にしっかり確認しておくべきでした」(41歳・子宮頸がん経験者)

診断給付金の支払回数制限

「再発した時に初めて気づいたのですが、私の保険は診断給付金の支払いが一生に一度だけだったんです。再発や転移に備えて、複数回の給付がある保険を選べばよかったです」(49歳・肺がん経験者)

就業不能保険の不足

「がん治療で8ヶ月間仕事を休職しました。医療費以上に収入の減少が大きな問題でした。就業不能保険にも加入しておけばよかったと後悔しています」(55歳・胃がん経験者)

家族の保障も重要

「私ががんになったとき、妻が仕事を減らして看病してくれました。結果的に家計収入が大幅に減り、経済的に苦しい時期がありました。家族の収入減に対する備えも必要だと実感しました」(63歳・膵臓がん経験者)

がん治療にかかる実際の費用

がん治療には様々な費用がかかります。経験者からの声をもとに、実際にかかった費用の例をご紹介します。

治療法別の自己負担額(3割負担の場合)

  • 手術治療:10万円〜30万円
  • 放射線治療:5万円〜15万円(回数による)
  • 抗がん剤治療:月5万円〜15万円(種類による)
  • 免疫療法:月10万円〜100万円(保険適用外の場合)
  • 分子標的薬:月5万円〜20万円

入院・通院にかかる費用

  • 入院費:1日あたり3,000円〜1万円(個室利用の場合は追加料金)
  • 通院交通費:月1万円〜3万円
  • 入院時の食事代:1日あたり約460円

その他の費用

  • ウィッグ代:3万円〜20万円
  • サポート下着:1万円〜3万円
  • 介護サービス:月5万円〜15万円

「高額療養費制度があるとはいえ、毎月の自己負担上限額(所得により異なりますが約8万円〜15万円)を支払い続けると、年間で100万円以上の出費になることもあります」(50歳・甲状腺がん経験者)

公的医療保険だけではカバーできない部分

公的医療保険は大きな支えになりますが、カバーできない部分もあります。

収入の減少

「会社の傷病手当金は標準報酬月額の2/3で、最長1年6ヶ月です。私の場合、治療が長引いて傷病手当金が終了した後の収入減が最も大変でした」(47歳・悪性リンパ腫経験者)

差額ベッド代

「安静と療養のために個室を希望しましたが、差額ベッド代は全額自己負担。1日5,000円で30日入院したので15万円かかりました」(42歳・乳がん経験者)

先進医療や保険適用外の治療費

「標準治療に加えて免疫細胞療法も受けましたが、保険適用外で100万円ほどかかりました。経済的な理由で諦める選択肢もありましたが、家族のサポートと保険金のおかげで受けることができました」(56歳・大腸がん経験者)

通院のための交通費・宿泊費

「地方に住んでいたため、専門病院への通院が大変でした。交通費と時には宿泊費もかかり、保険でカバーできない出費が月に3〜5万円ありました」(65歳・肝臓がん経験者)

がん経験者が推奨する保険の選び方

実際にがんを経験した方々が、後悔や経験から学んだ保険選びのポイントを紹介します。

1. 診断給付金の支払条件をチェック

「診断給付金が「悪性新生物」のみか、上皮内がんも含むのか、また支払回数の制限はあるのかをしっかり確認しましょう。再発や転移、新たながんの発生に備えて、複数回支払われる保険が理想的です」(48歳・乳がん経験者)

2. 入院日数制限に注意

「現在のがん治療は短期入院・長期通院が基本です。入院日数に制限のない保険や、通院保障が充実した保険を選ぶと安心です」(51歳・胃がん経験者)

3. 通院保障の重要性

「抗がん剤治療や放射線治療は外来で行われることが多いです。通院給付金が十分にカバーされているか確認しましょう。特に退院後の通院も保障されるかは重要なポイントです」(39歳・子宮体がん経験者)

4. 先進医療特約を付ける

「がん治療は日進月歩です。将来的に先進医療を受ける可能性も考慮して、先進医療特約は必ず付けておくことをお勧めします」(62歳・前立腺がん経験者)

5. 就業不能保険も検討

「医療費以上に収入減が家計を圧迫します。特に自営業の方は、就業不能保険や所得補償保険も併せて検討することをお勧めします」(53歳・大腸がん経験者)

がん罹患後でも加入できる保険はあるのか

がんを経験した後でも、保険加入の道は完全に閉ざされているわけではありません。

引受基準緩和型保険

「がん治療後5年経過していましたが、通常の保険では断られました。しかし、引受基準緩和型の医療保険には加入できました。保険料は割高でしたが、再発への備えとして安心感があります」(43歳・甲状腺がん経験者)

がん既往者向け保険

「がん経験者でも入れる専用の保険に加入しました。保障内容は限定的ですが、再発や別のがんになった場合の入院・手術を保障してくれる点が助かります」(57歳・肺がん経験者)

条件付き加入

「完治から3年経過後、一部特約を外す条件で生命保険に加入できました。すべての保障が得られるわけではありませんが、何も備えがないよりはるかに安心です」(46歳・悪性リンパ腫経験者)

団体保険の活用

「職場の団体保険は比較的加入しやすく、告知事項も少なめです。がん経験後も加入できたのは大きかったです」(40歳・大腸がん経験者)

保険金請求時に知っておくべきこと

保険金の請求は思ったより複雑なプロセスです。経験者からのアドバイスをご紹介します。

請求漏れに注意

「最初は入院給付金しか請求していませんでしたが、後から通院給付金や手術給付金も請求できることを知りました。複数の保障があることを理解しておくことが大切です」(44歳・乳がん経験者)

必要書類を事前に確認

「保険金請求には診断書が必要ですが、その費用は自己負担です。複数の保険に加入している場合は、コピーが使えるか確認しましょう。また、請求書類は保険会社によって異なるので事前確認が必要です」(59歳・前立腺がん経験者)

給付金専門の窓口を活用

「大手保険会社には給付金請求を手伝ってくれる窓口があります。専門スタッフに相談することで、請求漏れを防ぎ、スムーズに手続きを進めることができました」(51歳・胃がん経験者)

診断書の日付に注意

「診断給付金は『確定診断日』が重要です。検査で『がんの疑い』と言われた日ではなく、病理検査などで確定診断された日が基準になります」(47歳・大腸がん経験者)

経済的サポートを受けられる公的制度

保険以外にも、がん患者を支援する様々な公的制度があります。

高額療養費制度

「高額療養費制度を利用することで、月々の医療費の自己負担額が所得に応じた上限を超えないようになります。事前に『限度額適用認定証』を取得しておくと、窓口での支払いが軽減されて便利です」(53歳・肺がん経験者)

傷病手当金

「会社員の場合、傷病手当金が最長1年6ヶ月支給されます。標準報酬月額の2/3が支給されるので、治療に専念する期間の大きな支えになりました」(41歳・悪性リンパ腫経験者)

障害年金

「治療の影響で長期的に就労が難しくなった場合、障害年金を申請できる場合があります。私の場合、主治医と相談しながら申請し、認められました」(58歳・咽頭がん経験者)

医療費控除

「年間の医療費が一定額を超えると、確定申告で医療費控除を受けられます。領収書はすべて保管しておくことをお勧めします」(49歳・乳がん経験者)

がん経験者からのアドバイス

経験者だからこそ伝えられる、心からのアドバイスをご紹介します。

保険見直しは健康なうちに

「健康なときは『まさか自分が』と思いがちですが、がんは誰にでも起こりうることです。保険の見直しは健康なうちにしておくことをお勧めします」(46歳・大腸がん経験者)

家族と情報を共有する

「私の場合、入院中は体調が優れず、保険請求の手続きは妻が行いました。どの保険に加入しているか、請求方法など、家族と情報を共有しておくことが大切です」(61歳・胃がん経験者)

医療費だけでなく生活費も考慮

「治療費だけでなく、療養中の生活費をどう確保するかも重要です。私の場合、貯蓄と保険、傷病手当金を組み合わせて乗り切りました」(44歳・乳がん経験者)

精神面のケアも忘れずに

「がん治療は精神的にも大きな負担です。経済的な不安が少ないと、心のゆとりを持って治療に臨めます。そういう意味でも、適切な保険選びは重要だと感じました」(52歳・悪性リンパ腫経験者)

まとめ:いま始められること

がん経験者の体験から学んだ、今すぐ始められる準備をご紹介します。

1. 現在の保険内容を確認する

今入っている保険の保障内容を確認しましょう。特に診断給付金の有無、入院日数制限、通院保障の有無、先進医療特約の有無は重要なポイントです。

2. 収入減への備えを考える

医療費以上に大きな問題になる可能性がある収入減。就業不能保険や所得補償保険の検討も重要です。

3. 公的制度を理解する

高額療養費制度や傷病手当金など、公的な支援制度についても理解を深めておきましょう。

4. 家族と情報を共有する

加入している保険の内容や請求方法について、家族と情報を共有しておくことで、いざというときの手続きがスムーズになります。

5. 定期的な見直しを習慣に

ライフステージの変化に合わせて、定期的に保険内容を見直す習慣をつけましょう。


がんと診断されたとき、治療のことで頭がいっぱいになり、経済面のことまで考える余裕がないことも多いものです。だからこそ、健康なうちから適切な備えをしておくことが大切です。この記事が、皆さんの「もしも」に備える一助となれば幸いです。

「備えあれば憂いなし。私の経験が誰かの役に立つなら、がんを経験した意味があると思えます」(54歳・乳がん経験者)

※この記事は実際のがん経験者の声をもとにしていますが、個々の状況や意見は異なります。保険選びの際は、ご自身の状況に合わせて専門家にご相談ください。

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