「将来のため」「万一に備えて」と勧められた貯蓄型保険。10年間真面目に続けた私が、ついに解約を決断しNISAへ資金を移した理由と、その後の変化をお伝えします。
10年間続けた貯蓄型保険の現実
私は30歳のとき、「老後の資金づくりと保障を兼ねた最適な方法」と勧められ、月々3万円の貯蓄型保険(養老保険)に加入しました。
10年間の実績
- 支払総額:360万円(3万円×12ヶ月×10年)
- 解約返戻金:330万円
- 差額:マイナス30万円
10年経っても元本割れしている現実に愕然としました。
貯蓄型保険の落とし穴
貯蓄型保険を続ける中で気づいた重大な問題点は次の通りです:
1. 低すぎる実質利回り
金融庁の資産運用レポートによれば、多くの貯蓄型保険の実質利回りは0.1〜0.5%程度。インフレ率を考慮すれば、実質的にはマイナスになることも珍しくありません。
2. 高すぎる手数料
保険料の約30%が契約初期に手数料として差し引かれる商品も。これが10年経っても元本割れの主な原因です。
3. 解約時のペナルティ
途中解約すると元本割れするように設計されており、長期間拘束される仕組みになっています。
NISAに乗り換えた5つの明確な理由
1. 圧倒的な運用成績の差
貯蓄型保険の0.1〜0.5%に対し、世界株式インデックスの平均リターンは年5〜7%程度。この差は長期で見ると絶大です。
2. 手数料の透明性
NISAで購入できるインデックスファンドの手数料は年0.1〜0.5%程度。貯蓄型保険の不透明な手数料体系とは大きく異なります。
3. 柔軟性の高さ
急な出費があっても、NISAなら必要な分だけ売却可能。貯蓄型保険の硬直的な仕組みとは対照的です。
4. 税制優遇の魅力
NISA(特に新NISA)は非課税枠が大きく、長期投資に最適な環境を提供します。
5. 保障と投資の分離による最適化
保険は保険、投資は投資と役割を分けることで、それぞれに最適な商品を選べるようになりました。
乗り換え後の変化:数字で見る3年間の実績
貯蓄型保険を解約した330万円をNISA口座で全世界株式インデックスファンドに投資してから3年が経過しました。
NISA運用の実績(3年間)
- 投資元本:330万円
- 現在の評価額:約420万円
- 運用利益:約90万円(年平均リターン約8.4%)
同じ期間、貯蓄型保険を続けていた場合の予想返戻金は約345万円。差額は75万円にもなります。
保険と投資を正しく使い分ける私の新戦略
貯蓄型保険を解約した後、私が選んだ新しい戦略は以下の通りです:
1. 保障は「掛け捨て」で必要最低限を確保
- 定期保険:月7,000円(死亡保障3,000万円)
- 医療保険:月5,000円(入院日額10,000円)
2. 資産形成はNISAを活用
- 新NISA(成長投資枠):月18,000円
- 積立枠:月20,000円
3. 緊急資金は普通預金で確保
- 生活費の3〜6ヶ月分を流動性の高い預金で保持
貯蓄型保険からNISAへの乗り換え方法
もし同じような状況にある方は、以下のステップで見直しを検討してみてください:
- 現在の保険の返戻率を確認する:契約している保険会社に解約返戻金のシミュレーションを依頼
- 保障内容の棚卸しをする:本当に必要な保障は何か、金額はいくらか再検討
- 分離戦略を立てる:必要な保障は掛け捨て保険で、資産形成はNISAで行う計画を立てる
- 段階的に移行する:一気に解約すると損失が大きい場合は、減額や特約の見直しから始める
「貯蓄型保険が悪いわけではなく、目的に合っていないことが問題だったのです」
まとめ:後悔しない選択をするために
貯蓄型保険を解約するという決断は簡単ではありませんでした。10年間支払い続けてきたものを手放すのは心理的にも難しいものです。
しかし、行動経済学で言うところの「サンクコスト・バイアス」(過去の投資に囚われる心理)に気づいたとき、冷静な判断ができるようになりました。
今、振り返ると、「もっと早く気づければ」という思いはありますが、この経験から学んだことは計り知れません。大切なのは、過去の選択を悔やむのではなく、今から最適な選択をすること。
あなたも、本当にその保険が目的に合っているか、今一度見直してみませんか?
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※この記事は筆者の実体験に基づいていますが、投資にはリスクが伴います。個別の状況に応じた具体的なアドバイスについては、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。