「保険なんて、自分には必要ない」「まだ若いし、元気だから大丈夫」そう思っていませんか?多くの人が保険加入を先延ばしにしがちですが、実際に備えがなかった場合、どのような事態に直面するのでしょうか。今回は実際の体験談をもとに、保険未加入の厳しい現実と対策をご紹介します。
突然の病気で家計が崩壊 – 佐藤さん(38歳)の場合
佐藤さんは健康に自信があったため、「医療保険は無駄」と考えていました。しかし35歳の時、突然の腰痛から検査を受けたところ、椎間板ヘルニアと診断。さらに精密検査で初期の腎臓病も発見されました。
「最初は大したことないと思っていたんです。でも手術が必要になり、3週間の入院、その後もリハビリで2ヶ月間働けませんでした。健康保険があるとはいえ、窓口負担、差額ベッド代、収入減で貯金が500万円近く減りました。子どもの教育費のためにコツコツ貯めていたものが…」
具体的な出費:
- 入院費用(3割負担):約35万円
- 差額ベッド代(保険適用外):約12万円
- 通院リハビリ費用:約10万円
- 休業による収入減:約150万円
もし医療保険に加入していれば、入院給付金や手術給付金で50〜100万円程度の保障を受けられた可能性があります。さらに、所得補償保険があれば休業中の収入も一部カバーできたでしょう。
家族を残して – 鈴木さん(42歳)の遺族の苦労
鈴木さんは「まだ若いから」と生命保険への加入を先送りにしていました。しかし40歳で突然の心筋梗塞により他界。残された妻と小学生の子ども2人は、厳しい経済状況に直面しました。
「夫は『俺が死んだらどうするんだ』と冗談で言っていましたが、まさか本当になるとは…。住宅ローンが残っていて、子どもたちはまだ小さい。パート収入だけでは到底足りず、実家に助けてもらいながら必死です。夫には『もしもの備え』をもっと真剣に考えてほしかった」(妻・35歳)
直面した経済的困難:
- 残債のある住宅ローン:約2,500万円
- 子ども2人の教育費:約1,000万円(大学まで)
- 生活費の不足:月約15万円
生命保険に加入していれば、少なくとも住宅ローンの返済と当面の生活費をカバーできていたでしょう。「遺族年金だけで生活できるのか?」という記事も参考になります。
親の介護で人生設計が狂った – 田中さん(45歳)の場合
田中さんの父親(78歳)は認知症を発症し、要介護3に認定されました。父親は「介護保険は国の制度があるから大丈夫」と考え、民間の介護保険に入っていませんでした。
「父は『国の介護保険があれば十分』と言っていましたが、実際には介護施設の入居一時金や月々の費用負担が想像以上にかかります。私自身のキャリアも中断せざるを得なくなり、老後のための貯蓄も取り崩しています。親の介護と自分の老後、どちらも守れるか不安です」
発生した負担:
- 介護施設入居一時金:約300万円
- 月々の施設利用料(自己負担分):約8〜12万円
- 介護による離職で失った収入:年約400万円
民間の介護保険や認知症保険に加入していれば、一時金や月々の給付金で経済的負担を軽減できていたかもしれません。
自営業者の苦悩 – 山田さん(50歳)の体験
ITコンサルタントとして独立していた山田さんは、「健康には自信がある」と社会保険から国民健康保険に切り替えた際、追加の保険加入を怠っていました。ところが、突然の脳梗塞で3ヶ月間仕事ができなくなりました。
「会社員時代は当たり前にあった傷病手当金。自営業になってからはそれがないことに危機感を持つべきでした。収入がゼロになっても、家賃や生活費は発生し続けます。貯金を切り崩し、友人や家族に借金までしました。今は回復しましたが、老後資金にも大きな穴が開きました」
経済的打撃:
- 3ヶ月の無収入:約300万円
- 治療費自己負担:約50万円
- リハビリ費用:約20万円
個人事業主向けの所得補償保険や就業不能保険に加入していれば、一定期間の収入をカバーできたでしょう。「フリーランスのための保険選び」も役立つ情報です。
未加入の代償 – 保険がないとどうなるのか
保険未加入によって生じる可能性のある問題を具体的に見ていきましょう:
1. 医療費の負担増
健康保険があっても、3割の自己負担と保険適用外の費用は発生します。長期入院や高度な治療が必要になった場合、数百万円の出費も珍しくありません。
2. 収入の途絶
病気やケガで働けなくなった場合、会社員なら傷病手当金で一定期間は救われますが、自営業者や契約社員は収入が完全にストップします。
3. 家族への負担転嫁
世帯主に万一のことがあれば、残された家族は生活費や住宅ローン、教育費などの重圧に直面します。
4. 将来設計の崩壊
介護や重病などの長期化する出費は、老後資金を蝕み、人生設計を根本から狂わせることがあります。
後悔しないための保険選び – 専門家のアドバイス
保険アドバイザーの高橋さんは次のようにアドバイスします:
「保険は『もしも』のためのもの。必要のない保険に過剰に加入する必要はありませんが、自分の人生設計と家族構成に合わせた最低限の備えは必須です。特に注意したいのは、『収入保障』『医療保障』『介護保障』の3つです」
最低限必要な保障とは?
世帯主(家族を扶養している場合)
- 死亡保障:住宅ローン残高+子どもが独立するまでの生活費
- 医療保障:入院日額5,000〜10,000円程度
- 就業不能保障:月々の生活費をカバーする額
単身者の場合
- 死亡保障:葬儀費用と残債の整理
- 医療保障:入院や手術に備えた基本的な保障
- 就業不能保障:特に自営業者は必須
今からでも遅くない – 加入のベストタイミング
「もっと早く加入していれば…」と後悔する前に、今すぐアクションを起こしましょう。特に以下のタイミングは保険を見直す重要な機会です:
- 就職・転職時
- 結婚時
- 出産時
- 住宅購入時
- 40歳、50歳の節目
「保険は若いうちに加入するほど保険料が安くなります。また、健康なうちに加入しないと、病歴によっては加入を断られたり、保険料が割増になったりする可能性もあります」(保険アドバイザー・高橋さん)
まとめ:備えあれば憂いなし
保険未加入の方々の体験談からわかるように、「まさか自分が…」という事態は誰にでも起こり得ます。過剰な保険に加入する必要はありませんが、自分と家族を守るための適切な備えは、将来の安心につながります。
保険は「損して得取れ」というものです。支払った保険料が無駄になったと感じるくらいが、実は一番幸せなのかもしれません。しかし、必要な時に保障がなければ、取り返しのつかない事態になることも忘れてはいけません。
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